オホーツクだより

網走自然ガイド&旅人の宿「わしのとまり木」オーナーブログ

美幌のフォーラム

2014/05/26 20:42
 
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一昨日(24日)美幌町で開催された北海道淡水魚保護ネットワーク・美幌博物館主催のフォーラム「手作り魚道から始まる地域の自然再生」に行って来ました。

多くの河川は治水や利水を目的として直線化、コンクリート護岸化されたり、大小様々な砂防ダムや落差工による段差が設けられています。これらは治水、利水に役立ったことも事実だと思いますが、一方でそれまで生息していた生物達が住めなくなったり、川の段差によって魚の往来ができない所が多くなりました。
自然界は全て繋がっていて、特にこの地域では川と海を行き来するサケ・マスの仲間が生命の循環に大きな役割を果たしています。
網走川水系の様々な川が流れる美幌では数年前から地元の人達のボランティアによる小さな魚道作りが行われており、私も一度お手伝いに参加したことがあります。手作り魚道による効果は確実に表れており、魚道設置前までは見られなかった上流部までサケが遡上し、産卵した事が確認されたそうです。
私がこれまで美幌博物館の方から聞いてきた魚道作りの話でとても感心したのは、これを言い出して行動を始めた方が地元の農業の中心にいた方だということです。
今回のフォーラムにもパネリストとしてお話されましたが、この方がお若い頃、40年前は農作物の収量増加のための地域の悲願として土地改良整備を関係機関に率先して訴えていたそうです。その時は魚のことなど全く考えていなかったとのこと。その後お孫さんができて、川の落差工を何度ジャンプしても超えられないサケの姿を見た時「これはなんとしても魚道を作らなければ」と思い、周りの人たちに魚道の必要性を話しているうちに理解してくれる人が増えていったそうです。
これはこの方が地元農業の指導的立場に居て人望があったことがとても大きかったと思います。

今回のフォーラムは14時から18時までという長丁場でしたが、来場者の方々が予想以上に多く、会場は超満員!おそらく100人は超えていたでしょう。こう言っては失礼ですが、道内の淡水魚研究者を代表するような先生方が来られるとはいえ、小さな田舎町でのこのようなテーマのフォーラムにこれほどの人々が集まるとは思いませんでした。各パネリストの先生方のお話は様々な事例を紹介しながら堅苦しいものではなく、とても興味深いものであっという間の4時間でした。

小さな田舎町での地味な取り組みですが、これこそが将来に向かった本当のまちづくりなのだろうと思います。
多くの魚たちが昔のように本来の姿で当たり前のように上流と下流を行き来できるようになったら、現在は網走川水系では見られないと言われているイトウやシマフクロウもいつの日かまた戻って来ることも夢ではないでしょう。
そしてそんな自然環境の下で育った農産物や水産物はどこのよりも美味しいことは間違いありません。


下の写真は2011年11月20日に魚道作りのお手伝いに参加した時のものです。
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プロフィール

金指 功(かなざし いさお)

  • Author:金指 功(かなざし いさお)
  • 2004年に埼玉県からウトロのホテル勤務を経て網走に移住。
    2007年2月から網走自然ガイド「オホーツク遊楽倶楽部」として網走の自然の魅力を伝えてきました。
    そして2013年、オホーツク遊楽倶楽部は網走自然ガイド&旅人の宿「わしのとまり木」に生まれ変わり、新たな出発をしました。

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