オホーツクだより

網走自然ガイド&旅人の宿「わしのとまり木」オーナーブログ

今年のウチダザリガニ

2011/11/24 21:26
 
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2008年の夏から美幌博物館で取り組んでいる特定外来生物ウチダザリガニの駆除作業。
このブログでも時々お伝えしてきましたが、私は今年も5月28日から9月10日までの間、計9日間作業に参加、今年は特に生息密度が濃い1~2キロほどの区間で行いましたが捕獲数は合計9600匹あまりとなりました。
写真上は5月28日の作業の様子、下は7月24日のものです。

捕獲数は年々増えていますが、これは地元の高校生も参加するなど、作業の参加者が増えていることや毎年参加している私達が作業に慣れてきているためで、駆除作業をしているにもかかわらずこの区間でウチダザリガニが増えているということは無いと思います。
まあ特に減っているという実感も正直言ってありませんが。
ただ、大型の個体は減ってきたかなという感じはあります。
気性が荒く、適応できる環境の幅も広い上にこの川では天敵もほとんどいないですから、これからも根気強くやっていくしかありませんね。


美幌博物館では今月から環境省の許可を得て1階ロビーの水槽で生きたウチダザリガニを展示しました。
特定外来生物に指定されているので博物館といえども法に基づいた許可が必要です。
今回の展示ではウチダザリガニが在来の生物に与える影響を分かりやすく知ってもらうために水槽を3つに区切り、それぞれ底にパイプを設置、そして元々地元の川に棲んでいるハナカジカとウチダザリガニを一緒に入れた区画、ウチダザリガニのみを入れた区画、ハナカジカのみを入れた区画としました。
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在来の魚であるハナカジカも外来種のウチダザリガニも川では石の下や物陰に潜んで暮らしています。つまり美幌町内の川では居場所が完全に競合するのです。
この水槽でウチダザリガニのみを入れた区画とハナカジカのみを入れた区画を見るとそれぞれ同じようにパイプの中に入ってじっとしている事が多いのが分かります。
元々地元の川の石の下などを居場所としていたハナカジカ、そこに突然外来種のウチダザリガニが来たら・・・。
ウチダザリガニとハナカジカを一緒に入れた区画を見ると一目瞭然、この写真がそうですが、ハナカジカは全てパイプの外にいます。そして写真には写っていませんがウチダザリガニは全てそれぞれのパイプの中に入っていました。
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ハナカジカが最初にパイプに入ったとしても追い出されたのでしょう。そしてウチダザリガニがパイプに入るとハナカジカがそれを追い出すことはできないようです。


もちろん、在来の生物同士でも様々な生存競争があります。しかしその中でそれぞれの個体数が自然に調整されてバランスを取り、その地域の生態系が形成されるわけです。
そのようにバランスを取ってきた生態系の中に人為的に持ち込まれた外来種が入ってきたらどうなるか。
この水槽の中と同じようなことがこの地域の川で起こっているわけで、居場所を奪われたハナカジカはその数を減らしていくことになります。
外来種が在来種に与える影響を分かりやすく表現したこの水槽展示、機会がありましたらぜひ見て頂きたいと思います。
 

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プロフィール

金指 功(かなざし いさお)

  • Author:金指 功(かなざし いさお)
  • 2004年に埼玉県からウトロのホテル勤務を経て網走に移住。
    2007年2月から網走自然ガイド「オホーツク遊楽倶楽部」として網走の自然の魅力を伝えてきました。
    そして2013年、オホーツク遊楽倶楽部は網走自然ガイド&旅人の宿「わしのとまり木」に生まれ変わり、新たな出発をしました。

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